凡夫の

親というのは子供の自信を徹底的に折る。伸ばす教育、なんて言われているけど、表立っては子供の自信を折る、凡夫であることを教える必要があるのだ。

今の親はそれを教えていないように思う。そうなると、家庭の外で凡夫であることを学ばなければならなくなる。それは非常にしんどい作業だ。それは傷つくことと同義だからだ。家庭内なら、傷ついただけ愛してもらえる。しかし、家庭の外だとそんな補修作業はない。傷つきっぱなしになる。その傷になれるか、治癒を早くするか、それとも傷つけるものを避けることを覚えるか。

避けることばかりがうまくなっていって、凡夫であることを知る機会をなくす。凡夫だから何をやっても失うものはなく、うまくいけば手に入れられる、一方的な利益を得られるチャンスがあると知らないままになる。傷つくことを恐れるばかりでなにもしない、今が一番と考えるようになる。
凡夫の幸せはそこではない。世の中の全員が凡夫だ。その中で行動を起こしたものだけが、凡夫からわずかに足を踏み出す。だがちょっとしたことでまた凡夫の渦に飲み込まれる。しかし、元が凡夫なのだからまた抜け出せばいいと考える。だから群れに戻ることを恐れない。

俺は凡夫だ。それを思い知っていないと、ちょっとしたことで勘違いをしてしまう。しやすい性格だ。だからこうやって文章を書く。自分が凡夫であることを忘れないために。