めざせ、天竺

昨日のミスボド定例会についての日記。

というか「セイルトゥインディア」についてだけ書こうと思う。

セイルトゥインディア。先だってのゲームマーケット春で発表された500円ゲームズの一つ。
プレイヤーは大航海次回のポルトガル商人となって、インド航路を開拓しながら商売をし、勝利を目指す。
というルールについては、ネット上にルールが公開されているのでそちらを確認するよろし。
http://okazubrand.up.seesaa.net/image/manual_web_sail.pdf

500円ゲームズというのも以下。
第2回500円ゲームズ

いまさら私が言及するのも意味がないが。

500円という設定から、コンポーネントはカード24枚、キューブ52個。これだけで十分に大航海時代の潮と石の匂いを感じ取れる。リスボンから出港し、寄港地で獲得した商品を持ち帰り販売する。新たに航路を開拓する。寄港地に自身の不動産を建築する。どれもが商魂たくましい商人であり、また、インド航路という大儲けの夢に賭ける気概が現れている。ブルーオーシャンが広がっているとしたら、それだけで目標には十分なのだ。歴史となった大航海時代の熱気がたまらなくプレイ中の気分を盛り上げてくれる。
とりわけ、寄港地に建築するという行為が気に入った。私の好きな欧州の石の香りがするからだ。カードイラストも木でできた建物ではなく、石でできたそれがデザインされている。「カルカソンヌ」「ハンザテウトニカ」などヨーロッパのボードゲームではよくみかける石の文化だ。日本、アジアの木の文化に対する石の文化といってもいい。それは単なるイラストなのだけれど、テーマに合致したデザインであり、プレイヤーの行動だ。

出港して、生産して、売却して、自身のリソースを拡大する。しかし、リソースは様々な用途があり(勝利点マーカーでさえも、プレイヤーリソースの1つなのだ!)そのやりくりに難渋する。上限の低さがジレンマとして機能して、プレイ中は延々とこの困窮に悩まされる。新しい時代は始まったばかりで、資源は潤沢ではない。しかし、海に出なければ、わずかな拡大すら手に入れることはできない。古い船を見ると「よくこれで大海を渡ったな」と空恐ろしく感じるのだが、このゲームでもその恐ろしさというか、時代の熱気を再現しているように思う。貧乏なんか苦にすんな!

海を行ったり来たりを繰り返して、やがてインドに到着しゲームは終了する。
このゲームでは勝利点を商売以外に得る方法がいくつか用意されている。それが「技術」である。特定の技術を獲得すると、特定の行動や、建物から勝利点を得ることができるようになる。
その中の一つに「活版印刷」というものがある。教会の布教を行うと勝利点が得られるイメージ。寄港地に教会を建築していると、手番ごとに1点もらえる。これが強すぎるらしく、製品発表直後にエラッタ(?)が幾つか公開されたらしい。今回はそのうちの一つ「教会を2つ以上建設している場合に1点」とした。
記述が前後するが、建物の種類は商館、拠点、教会の3つがある。商館はリソース無しで商品を生み出し、拠点は移動時に有利に働く。これらはゲーム中に機能するのだが、教会だけは機能はなく、技術と合わせることで勝利点ソースとなることと、ゲーム終了時に1つ2点となる。前述の「活版印刷」ともうひとつ境界線用の技術「海外布教」があり、これは終了時に教会1つにつきさらに2点を生み出す。当然勝利を目指すのであれば、教会を建築し、これらの技術を独占するほうがよい。商売人としては失敗だが……。インドに向かって海外布教したのでこれはもちろんイエズス会であり、聖人フランシスコ・ザビエルである。やはりこの宗教は偉大だ。ゲームに勝利できる。
この協会なのだけれど、寄港地カードにやたら出てくるため、建設の機会は多い。反面商館が少なすぎるように思う。教会を建てることは勝利に直結するのだけれど、ゲーム中のリソースマネジメントや自身の収益にはなんら寄与しない。ここでもジレンマとして機能している。のだけれど、あまりに教会が多すぎるのではないだろうか。建物の種類が少ないためではないかと思う。拡張でこの改善に期待したい。拡張が出るのかしらんけど。

500円ゲーム、という名前から受ける印象とはまったくことなり、1時間はゆうに楽しめ、その時代、文化の雰囲気を十分に感じられる傑作だった。再販が検討されているようなので、ルール修正も含めて期待したい。その時は今同様にジップロックのまま販売して欲しいものだ。そこまで含めてよいデザインだと思うから。