東雲侑子は上半期ライトノベルでいちばんよい。



タイトルでいいたことが終わってた。2012年度上期ベストはまちがいなく「東雲侑子」でしょう。

東雲侑子は高校生であり作家である。そして図書委員であった。恋愛小説を書きたいと望む彼女は同じ図書委員の三並英太に「恋愛ごっこ」を持ちかけるのだが……。というあらすじである。あらすじといえばシリーズ第1巻の「あいしている」の裏表紙が秀逸である。主人公たちの内面の動きを主として短くまとめてあり、一見の価値がある。
また侑子の作中作が次第に変わっていくのもおもしろかった。最初はわかりづらい作風だったのが、次第に作者である侑子と近づいていき、最後には読みやすい恋愛小説へといたる様は彼女の内面の成長の証なのだろう。作家という職業は己の成長を他人に見せることがその一面ではあるのだろう。決して消せない黒歴史が残るというか。最後の侑子が初期作を見て顔を真っ赤にする様が容易に想像できて少し笑えた。

第2巻「あいしはじめる」最終巻「あいしている」とほんと、ずーっと、延延、のべつ幕なし2人のいちゃいちゃを見せ付けられるだけですが、三並視線でのみ物語が進むため、女の子側の気持ちが全く見えないところが「恋愛」のもどかしさを見せ付けられるし、もっとも楽しいところに同調できる。この男目線の確かさというか、まっすぐさはビンゴ節の真骨頂だろう。
ですので「ぼくこい」の続きを宜しくお願い致します。