恋に落ちていない、というずるさ。

posted with amazlet at 12.06.19

最近のお気に入りのひとつ「俺はまだ恋に落ちていない」の第２巻。

ほっそりとした前巻から引き続いてほっそりした、よくあるラブコメ。すれ違い篇ですね、これは。主人公の赤井が自分の行動の残酷さに全く気づいていない、というより目をそらして誰からも好かれようとする姿は無様である。タイトルの通り、まだ恋に落ちていない、つまり誰かを選んでいない状態が続くばかりだった。反面、この手のラノベ主人公によくあるように、嫌われるのを恐れるあまり、過度の自己保身に走り他人を傷つけることに無自覚な場面が目立つ。手放してから自分に気づくとか、行き場がなくなってから取り戻そうとあがく姿は主人公としてこっけいである。このあたりについてはあとがきにて作者が言及している。主人公の居ない世界で主人公を張ろうとするがために払っている家賃のようなものだ。

結局、相手の好意に甘えてなんとか取り戻すに至るのだが、それでもまだ結論は出ていない。次で結論が出るのだろうか。