ボードゲーム「Royals」短評

アバクスシュピールの新作「Royals」を購入、遊んだのでいろいろと。「ロイヤルズ」なのか「ローヤルズ」なのか。以後、好みで「ローヤルズ」とする。あと「アバカス」なのか「アバクス」なのか。ちなみにググったところ「ローヤルズ」の日本語で最初の記事じゃないかな! どうだろう。だとしたらちょっと嬉しい。

ゲームの舞台は17世紀欧州。プレイヤーはイギリス、フランス、ドイツ、スペイン各国に貴族を輩出する名門の長となり、各国への支配権を競う。貴族の種類は7つ。元帥、男爵、伯爵夫人、公爵、枢機卿、王女、王。4カ国のそれぞれの都市に貴族として君臨し、国家への影響力を発揮することで得点となる。

プレイヤーは手番で以下のアクションを行う。

必須:カードドロー 国カードか陰謀カードを手に入れる。
任意:貴族の配置 国カードをコストとして各都市に貴族を輩出する。すでにその都市の貴族の地位が奪われていても陰謀カードで横取りできる。

「王と枢機卿」ですね、ここは。で、各都市に最初に貴族をおくと都市ポイント、各国のすべての都市に派遣すると国ポイント、すべての貴族の種類に派遣すると貴族ポイントが得られる。獲得したポイントタイルは得点面を伏せておく。
国カードの山は、3枚が公開されていてカードドローの際には公開カードを取るか、山から引くか、またはその組み合わせが選べる。「王と枢機卿」である。プレイヤー手番終了時に公開カードが3枚になるよう補充される。これが補充されないとラウンド終了となり派遣した都市の影響力から得点計算を行う。3ラウンドでゲーム終了。最終ボーナスを計算してもっとも獲得点数の高かったプレイヤーが勝利する(ありがちかつ当然)。

プレイ時間はだいたい1時間くらい。手番時のアクションは貴族の派遣と1つなのでますます「王と枢機卿」っぽかった。マップが現在の欧州全域に似ているので「王と枢機卿」よりは馴染みがあるかなと思う次第。
3ラウンドなのだけれど、各ラウンドで目的が違うように思った。1ラウンドは都市先着ポイントの大量獲得を目指す。2ラウンドは国ポイント、貴族ポイントを目指す。3ラウンドは最終貴族ボーナスの独占を目指すとなる。もちろん各ラウンドごとの影響力ポイントの獲得は必須だ。この影響力ポイントなのだけれど毎ラウンド変化はない。国ごとに変化があるのみ。フランスは都市が多いが得点も高く、イギリスは都市が少ないのに得点が高い。「王と枢機卿」でもイギリスは僻地だ。1人がそこで思う存分得点を得られる。このゲームでもイギリスは同じだ。
スペインは得点が少ない。なぜだ。ドイツは中庸。影響力ボーナスは2位までなので、複数国で2位ねらいもありだろうけど、1位の得点の半分くらいなのであんまり効果的じゃない。今回その道を俺が選んで負けたから。またラウンドが進むと各人の保有カード枚数も多くなるので、自然にラウンド終了が早くなる。いろんな国にちょっかいを出すだけのカードと手番があるのかは疑問である。また2ラウンド以降は陰謀カードの引きも影響を受けやすい。なかなか望む国に対応する陰謀カードが手に入らないのだ。陰謀を謀るチャンスはそうそうないということだ。

後半になるほどゲームは加速し、底が見えてくる。このモヤが晴れていく爽快感がここちよく、面白かった。このゲームが進むにつれて風景が変わる様は、このデザイナーの過去作「フランシスドレイク」とは全く異なるところも興味深い。
総じてそつがないゲームだった。テーマ、プレイ時間、手ごたえ、てざわりとアナログゲームに手馴れてきたような人に向いているんじゃないかな。経験豊富な人だとカンどころが明確につかめて、すぐに遊びきってしまうように思う。残念ながらわざわざこのゲームを選ぶような理由には乏しいと言わざるを得ない。私はこのハプスブルク家を連想させるデザインに心惹かれます。また前述のように一手の判断のための項目がすくないため一手一手に納得が得られるところなど満足度は非常に高いです。とはいえ、エッセンではまったく話題にならず、現時点で国内ショップ・ホビージャパンの俎上になってないので国内流通は望めないのが残念です。もしこの一文で気になった方は「王と枢機卿」を遊べばいいと思うよ!

ではまた。